最終章
……あれ?
「ルーティ」
呼ぶ声に従って視線を向けてみればそこにはフォックスとウルフが立っていた。どうしたんだろうと目を見張っていればピチカはゆっくりと離れて手を後ろに回し肩を竦めて笑いかける。
「僕たちからのプレゼントだよっ」
……プレゼント。
「ほら」
フォックスはウルフの背中を軽く押す。
「なんで俺様が」
「皆で決めたことだろ」
にっと口角を持ち上げて笑う。
「パートナーなんだから」
それを言われてしまうと返せないのかウルフは苦虫を噛み潰したような顔をしながらもフォックスから赤と橙のストライプの包装紙に包んだ平たい何かを受け取った。それを手に一歩前に進み出てルーティと向き合えば目を逸らして。
「……その」
言いづらそうに眉を寄せれば子ども達の頑張れと囁く声に固く瞼を瞑る。情けないと思ったのか、羞恥心を感じたのか或いはそのどちらもかもしれないが兎角ゆっくりと瞼を開けば。
「最初に会った時は……チビで細っこくて早死にしそうな腑抜けた野郎だと思ってた」
散々な言われようである。
「蓋開けてみても結局想像通りの甘ちゃんで──そんな餓鬼がこの俺様のパートナーなんざ三日も持つかよってな。それが案外しぶとくて骨のある奴で……面倒なのに変わりはないが」
小さな声で。
「目ェ離せなくて」
ルーティは黙って見つめている。
「ああもう前置きはこのくらいだ」
痺れを切らしたようにウルフは息を吐く。
「とにかくテメェは結局危なっかしいからな──俺様のパートナーでいろよ。これからも」
差し出す。
「……誕生日おめでとう」