最終章
天国へ誘われたのではないかと錯覚するような──そんな眩いばかりの光が襲ってきた。固く瞼を瞑って耐えていれば銃声のような破裂音が一重にも二重にも。しかしいつまで経ってもそれらしい痛みが襲ってこないのを不審に思ってそろそろと瞼を開いてみれば。
ひらり舞い落ちる色とりどりの紙切れ。
降りかかる金や銀の紙テープ。
「せーのっ!」
誰かが合図の声を送れば息を吸い込む音。
「誕生日おめでとうっ!」
……へ?
「おにぃっ!」
死角ではなく真正面から。駆け寄ってきたピチカが呆気に取られて立ち尽くすルーティの胸の中へ容赦なく飛び込んで腕を回した。
「お誕生日おめでとう!」
「え……?」
「もー自分のお誕生日忘れちゃったの?」
実感が湧かない。
「子どもの成長はあっという間ね」
「本当、大きくなったよな」
感慨深い様子で言葉を交わす者。
「準備が間に合ってよかったです」
「皆さんご協力ありがとうございましたぁ!」
「はい食べよ食べよー!」
「いやお前切り替え早すぎだろ」
……思考が追いつかない。
「ごめんなルーティ」
次にやってきたのはディディー率いる子ども組。
「こっち都合で振り回しちまって」
「準備はともかく、あれがなー」
「しーっ!」