最終章
その場所を探し当てるのは当然のこと容易くルーティは食堂を見つけると小走りになって扉に近付いた。扉に両手を置きながら耳を澄ませてみれば微かに話し声が聞こえてくる──それも思ってたより賑やかで楽しそう。探すついでに寄り道するくらいは許されるだろうとルーティがドアノブに手を掛けたその直後である。
「おっ……おーにさーんこーちら……!」
この声は。
「あっ」
振り返ったルーティは思わず目を丸くした。通路の先で大きく両手を振っていたのはなんとリュカである。このままでも充分見つからなかったのだから素直に隠れていればよかったものをわざわざ姿を現してくれるものだとは思いもしなかった。ルーティはぱっと扉から離れて駆け出す。
「待てえっ!」
あわわ、とリュカは慌てたように辺りを見回して兎にも角にも逃げることを選択した。ばたばたと手を振って如何にも忙しない慣れない走り方では追いつかれないはずもない。
「捕まえ、」
伸ばした手が肩に触れそうになったが直後。
「わばあっ!?」
顔面から勢いよく床にダイブ。
「あわ、」
「今のうちに!」
聞こえてきた舌足らずな声は間違いない。
「っきゃ!」
足を引っ掛けて転ばせてきたのはなんとピチカである。ファインプレーと褒めてあげたいところだが生憎のこと距離が近過ぎた。離れようとしたところで足首を掴まれ膝から崩れ落ちてしまう形となりながらもピチカは声を上げる。
「あと五分だけ稼いで!」
立ち上がるルーティにリュカはゆっくり後退り。
「お願いっ!」