最終章
ディディーは立ち上がると小さく笑って手を差し出した。顔を上げたルーティは額を摩った後好意に甘えてその手を借りながら立ち上がる。
「一応聞くけど嘘だよな」
「探してみる?」
ディディーはぎくっと肩を跳ねて、
「ヤメテオキマス」
さてと──残るは別荘の中に逃げ込んだピチカとリュカである。正直な話表に出ていた三人こそ厄介だったので別荘内は隠れる場所がたくさんあるとはいえ見つけてしまえば後は容易い……
「あれっ?」
なんて短い時間別荘に気を取られている間に固まって話していたはずの三人の姿が消えていた。まあ鬼ごっこなんてものは捕まってしまえば後はゲームが終わるのを待つだけだし、それをわざわざかんかん照りの中で待つ必要はないんだよな──なんて一人で勝手に納得しながらルーティは別荘の入り口まで歩み寄って扉を開く。
妙な静けさがあった。
違和感を感じるより先別荘全域に行き渡った涼しい空気を一気に贅沢に浴びることとなったルーティは思わず溶け出してしまいそうな安心感と安らぎを覚える。息を吸って吐いて──ひと息ついたところで捜索開始。
最初の三人と比べて体力には自信のない二人だ。そうともなれば隠れているような気がしてルーティは一つ一つ部屋を確認するという作戦に出る。開けては閉めて、開けては閉めて。……
あれ?
「誰もいない……?」
ルーティは目をぱちくりとさせた。
そんなはずはないのだが一つ二つと誰か一人は居そうな部屋を開けて確かめてみても何処かに出掛けたのかすれ違ったのか──そんな偶然があっていいものか誰一人として出会さない。
「すみませーん」
……なんて声を掛けながら浴室やトイレの中を覗いてみても居ないのだ。ま、この辺りは実際居たところで叩き出されそうなものだが。
「うーん?」
……食堂を掃除してるとは言ってたけど。
皆揃ってそこに居る、なんてはずないよね……?