最終章



「あっ!」

何を閃いたのかルーティが唐突に声を上げると次の行動に移ろうとしていたディディーは反射的に動きを止めて振り返った。

「おおっと」

その隙を突くつもりだったのかルーティが咄嗟にディディーの待機している木に飛び移るも残念ながらその程度では予測の範囲内であったらしく、伸ばされた手を体を反らして躱された上で草花のアーチの上に飛び乗られてしまう。

「なんだよわっかりやすいなーそれが作戦?」

アーチの上で胡座をかきながらけらけらと笑うディディーを目にルーティは木の幹に手を置いて片膝を付きながら再び固く口を結んでいたが次なる作戦を思いついたのか木の影を指差しながら。

「ぴっピチカのしたっ下着があんなところに!」
「うぉえっ!?」


今だ!


「おわぁあっ!?」

素っ頓狂な声を上げて今度こそ完全に気を取られたその隙を見てルーティは飛び出す。気付いたディディーも伸ばされた手を躱すべく体を反らしたが思いの外体が大きくよろめいたのを見てルーティは慌てて片手ではなく両手をめいっぱい伸ばしながらそのまま飛び込んだ──直後。

「どあっづぅ!?」


どたん、と。


「だ……大丈夫、でしょうか……」

セーフなのやらアウトなのやら──とにかくルーティは落下したディディーを大きく伸ばした両腕で受け止めながら地面に顔面から突っ込むような形で着地。その一方でディディーはそれでも何処かしらは打ってしまったらしく、あだだ、と腰を摩っていたが状況に気付くと苦い顔をしながら。

「お前それマジでやってるって」
「……あはは」
 
 
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