最終章
普段は超能力を使える彼も使ってはいけないともなればただの子供も同然である。悔しそうに離脱するネスを見送ったが問題なのは次の二人──子供組の中でも大人が最も手を焼かされているとされるトゥーンとディディー。この二人を捕まえないことには別荘の中に逃げ込んだ後の二人を先に追ったところで、といったところ。
「、見つけた!」
別荘の裏側に回ってみたところ身を潜めていた様子のトゥーンを発見。声に気付いたのか音に気付いたのか彼自身もルーティを振り返ると「やべ」と声に出して逃げ出した。
「待てえっ!」
そういえば──バカンスに来てからというもの、こういう普通の遊びをしていなかったな。そりゃもちろんこういう場所に遊びに来たからにはそれらしい遊びを優先したいところだけど大事なのは何をするかより何処でするかだろうし。
白い入道雲の眩しい青い空の下。
「くっ」
紛うことなき青い春。
「っ、捕まえた!」
「くっそー!」
フェイントをかけてようやく。追いついた背中を叩くとトゥーンは速度を緩めて声を上げた。
「なに捕まってんだよー!」
息つく間もなく。
「お前、捕まんなよ!」
「任せとけって!」
木の上。
「鬼さーんこちら!」
ディディーはにやりと笑う。
「捕まえてみろよ、ルーティ!」