最終章
……鬼ごっこ?
「別にいいけど急になんで」
「いーち!」
ネスが声を上げる。
「え、えっ?」
「おにぃが鬼だからねっ!」
お……おにぃだけに? なんてボケをする間もなくピチカを筆頭とした子どもたちはそれぞれ思い思いの方向へ散らばっていく。
「にーい! ほら数えて!」
「五秒でいいかんな!」
トゥーンとディディーが口々に。
「さ、さーん!」
ルーティが数えている間にピチカとリュカは別荘へと走っていき扉を開いて中へ。室内も有りなのか──いやまあ広いし無しではないな。残りの三人は外に残っているしまずはこの三人を捕まえてから残りの二人を追いかけるのが得策か。
「しーい!」
足音が遠ざかる。……子どもとは一概に言ったところで彼らも紛うことなく戦士。ただの鬼ごっこだって一筋縄ではいかないことだろう。
「ごー!」
だからって負けてあげられない。
僕はそんな彼らを指揮するリーダーなんだから!
「……よし!」
やる気が湧けばテンションも上がるというもので頬にぱちぱちと青い閃光が跳ねた。少しばかり大人気ないなと思いつつも地面に深く踏み込んだが刹那砂煙を巻き上げながらスタートダッシュ。
「うわっ!」
距離を開き切れなかったネスが声を上げた。
「……まずは一人目!」