最終章



◆最終章『これまでも、これからも』



思えば、長い一週間だった。

照り付ける太陽に歓迎されながら海で遊んだり慣れない浴衣を着て夏祭りに行ったり夏の暑さも吹き飛ぶ肝試しをしたり花火を楽しんだり。雨の日を挟んだのは残念だったがそれもたった一日だけ。他の皆には言えない大冒険をしたり本当に夏という夏を謳歌していた。


皆は羽を伸ばせただろうか。

楽しめただろうか。……


それはあからさまな違和感だった。

「ルーティ!」

部屋を出て廊下を歩いていたその時である。

「ロイ?」
「も、もしかしてそろそろ昼飯?」

何処から走ってきたのやらロイは膝に手を付いて肩で息をしながら訊ねた。ルーティ自身は特にあてもなかったがそういえばそのくらいの時間だなと思い出して。

「そうしようかな……ロイも一緒に食べる?」
「お前外で食べろ一人で!」


えっ。


「はい馬鹿ー」

ハリセンを持ったカービィがいつの間にか。

ロイを後ろからすぱーんっ、と。

「いってえ!?」
「ルーティのこと嫌いなの?」
「いや好きだよ!」
「ふーん好きなんだぁー」
「そうじゃなくてだな!?」

漫才を見せつけられてる。

講演料は戴かれるのだろうか。

「え、えっと……じゃあ僕はこれで」
「待て」

下がろうとすればぶつかった。恐る恐る顔を上げてみればぬぅんと……じゃなくてずぅんと見覚えのある顔がじっと見下ろしている。

「今食堂に行かれると困る」
「……困る?」
「そそそ掃除してるんだよ!」
「あ、そっか」

寂しいけどもうすぐこのバカンスも終わっちゃうからそのままというのも申し訳ないと思ってわざわざ掃除してるんだ……しっかりしてるなぁ。
 
 
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