第八章
七時。……思ったより早起きしてしまった。
「おはようございます」
欠伸を漏らしながらフォックスがぼんやり廊下を歩いていたその時声を掛けてきたのはリンクだった。恐らく朝食の準備で起きてきたのだろう。
「おはよう。リンク」
「珍しいですね」
「色々と落ち着かなくてな」
「羽を伸ばすために来たんですから」
リンクが言うとフォックスは苦笑い。
「そうじゃなくて」
「あっ」
そんな声を漏らしたのは。
「ロイじゃないですか」
珍しい事とは立て続けに起こるもの。
「貴方も落ち着かないんですか?」
「何の話だよ」
それより。とロイは手招きする。
「こっちだよこっち」
フォックスとリンクは疑問符を浮かべながら先導する彼の後を追いかけて。
「どうも朝から見かけないと思ったらこんな所に転がってやんの」
そして、見つける。
玄関先のマットの上で靴も履いたまま重なるようにして眠りこける三匹の鼠たちの姿を。
「おやおや」
リンクは笑う。
「どんな夢を見てるんでしょうか」
フォックスも釣られて目を細めて笑った。
「大冒険でもしているのかもしれませんね」
「……そうだな」
幸せそうに眠るその横顔はまだ知らない。
真夏のバカンスは。
彼にとって。最高の