第一章
(有りとあらゆる意味で)ネロの無事を祈りつつ、ルーティはウルフを連れて浴衣のコーナーへ。そこで目にしたのは。
「良いではないか! 良いではないか!」
「あぁーれぇー!」
ディディーがトゥーンの腰に帯を巻き付け、くるくると回しては遊んでいる。
今時、時代劇でもそんなシーンは無いだろうに。何処で学んできたのか、ルーティがその様子をジト目で眺めていると。
「よっ、水着は買ったのか?」
近くでピットと共に浴衣を選んでいたロイが、此方に気付いて駆け寄ってきた。
「うん。……それはいいんだけど」
あれは何だ、とディディーとトゥーンを指差す。すると、ロイは唐突に声を潜めて。
「あれ、ドンキーが教えたらしいぜ。ああすれば女が自分の物になるんだとよ」
確かに、その後の展開によってはお代官様の新妻になりますけど。いや、逃げたとしても権力と財力でどうにか出来るはず。
……真面目に考えている自分が怖い。