第八章
あれだけ考えて。朝から身支度もして。
情報収集だってしたのに。
「えぇーっ!」
案の定ピチカが不満の声を上げた。
「せっかく宣誓したのに!」
「俺たちしか聞いてないだろ」
ソニックが呆れたように見つめる。
「大体お前が序盤でへばるから」
「アクシデントがあったからでしょ!」
やいのやいの。
「まあまあ二人共」
ルーティは苦笑気味に宥める。
「絶滅危惧種のアクアヴォルフを見られただけでも凄いことだと思うよ?」
「むぅー」
ピチカは唇を尖らせる。
「だって」
「……だって?」
「ケータイ持ってきてないもん……」
そこかぁ……
「持ってきてどうするんだよ」
「写真撮りたかったの!」
「あっデジカメならあるよ」
「それって後でケータイにデータ移せる?」
「ど、どうだろう」
曖昧な返しに対し不服そうな様子を見るに携帯端末で撮った写真をSNSにアップしたりして見せびらかしたかったのだろう。年頃の女の子が考えそうなことである。ルーティは背負っていたリュックサックを下ろしながら地面に膝を付いた。自分で買った物を詰め込んでおいて何だけど物凄く肩が軽くなった気がする。
「何を持ってきたんだ?」
「絆創膏と懐中電灯と非常食と」
「おいおい」
何処まで行くつもりだったんだと。
ソニックが呆れていると。