第八章
少しずつ。空が明るくなってきた気がする。
「朝日が出る前に、だったよな」
そう言ってソニックは木々の隙間から東を見た。
「あ」
その声に釣られてルーティとピチカが足を止めてしまいながら其方に目を向けてみると確かに太陽が頭を覗かせていた。まずいと思ったが先頭を歩くアクアヴォルフの足取りはゆったりとしていて急いでいる様子は見られない。
「何してるのっ! おにぃ!」
ピチカが急くようにとんと背中を押した。
「急ごう!」
言うや否やソニックもアクアヴォルフの横を抜け猛ダッシュ。その後ろをピチカが追いかけるのをルーティは小走りになりながら続いて。
……やがて。
視界が大きく開かれる。
「、わ」
ピチカは足を止めると目を丸くした。
「き」
ゆっくりと息を呑み込んでぽつりと洩らす。
「きれー……」
そこはこの島で最も高い場所に位置しているであろう高台だった。一見すると切り立った崖のようだがよく見てみれば多少急ではあるものの坂道がある。一般人はともかく自分たちほどの運動能力があれば帰りは此方を使った方が恐らく早く帰り着くことだろう。……そして。
朝焼けの空を映し出した海が何処までも。緑の木々が豊かな自然を謳歌していて目を奪われるのも頷ける。ルーティは暫くの間呆気に取られた。
「あ」
太陽が昇ってきている。
「あー……」
「あはは」
ルーティは苦笑いを浮かべる。
「間に合わなかったね」