第八章
「ううぅー」
ピチカは弱気な声を上げた。
「二人共待ってよぉー!」
ここまで、十分か十五分といったところだろう。
ルーティとソニックは鳥居の前にいた。……蒼ノ宮神社。
「ふはぁっ」
祭りの期間だというのに提灯のようなものは一切飾られず、鳥居の先は辺りの暗さも相俟って不気味さを物語っている。ようやく追いついてきたピチカが両膝に手を付いて肩で息をしているところ申し訳ないが、ここは急がなくては。
「……ふえ?」
リュックサックを下ろしてルーティが取り出したのは、懐中電灯。
「それ、わざわざ買ったのか?」
「買ったのは電池だけだけどね。懐中電灯自体はリオンが肝試しの為に大量に買い込んでくれてたからさ」
ルーティは懐中電灯のスイッチを入れる。
「じゃあ行こっか」
「ええー! 少し休もうよぉ……」
「No! ピチカ、さっき言ってただろ。この島の謎を解くには朝日が昇る前に高台に出なきゃいけないんだ。休んでる暇なんてないぜ?」
厳しい物言いだがその通りである。
「それが嫌なら帰るんだな」
「そ、ソニック、その言い方は……」
時既に遅し。
「むぅ……」
案の定ピチカは膨れて、
「いいもん。こんな山道へっちゃらだし」
「無理しなくていいんだぜ?」
「大丈夫だってば!」
ぴしゃりと返してそっぽを向くピチカにソニックは疑問符。
「……何を拗ねてるんだ?」
「知らなーい」
ルーティは思わず、苦笑い。