第八章
さて、まずは情報収集からである。
といってもこんな早朝では人っ子一人見当たらない。ちなみに、先程の男については何も訊ねなかった。あんな青春ドラマみたいな光景を見られた後では、ちょっと気が引ける。要するに顔を合わせるのが恥ずかしかったわけだ。
「あっ」
五分ほど歩いて、ようやく見つけたのはコンビニ。
「店員さんなら何か知ってるかも!」
「確かに、ここで働いてるってことはこの島の住民である可能性が高いからね」
唯一の明かり。ルーティは腕を組んで見つめる。
「……行ってみよっか」
数分後。
「あいぁとーござぁやっしたー」
何の手掛かりも掴めないまま、退店。
店員の明るい声が憎い。如何にも今時といった金髪の映えるその店員は、アクエスの謎について全くといっていいほど情報を持ち得ていなかった。唯一手にすることが出来たのは、この手に提げた買い物袋のその中身くらい。まあ苦労はなかった。
「……あっ」
その時、ピチカが小さく声を上げてルーティの後ろにさっと隠れた。
小首を傾げる。少しだけ顔を出したピチカが指をさすので、ルーティがソニックと揃ってその方向を見ると、数人の男たちが煙草を吹かせながら話していた。
その内の一人が此方の視線に気付いて振り返ると、今度もピチカは引っ込んで。