第八章
ある程度別荘から離れると、ピチカは再び声を上げた。
「MAX探検隊ってのはどうかな!?」
暫しの沈黙が訪れる。
「……何それ」
「だって僕たち、鼠でしょ?」
おい。
「鼠のマウスとX部隊のエックス。合わせてMAX探検隊!」
無邪気な笑顔に反して苦笑。子供の発想力って無限大だなあ……
「でも、マウスの綴りはMouse……エム、オーだろ?」
「英語バカ!」
「は!?」
「僕の場合はローマ字読みなのっ!」
これにはさすがのソニックもやれやれと諦めた。
「宣誓!」
ピチカはぱっと手を挙げて。
「僕たち、MAX探検隊は様々な困難にも立ち向かい、絶対に諦めない。必ずこのアクエスの秘密を暴いて、全員が無事に帰還する!」
そんな壮大な冒険を繰り広げるつもりもなかったが。
「上等だぜ!」
おっと先に言われてしまった。続けてルーティも口元に笑み。
「……同じく!」
ピチカは満足げに頷いて。
「MAX探検隊! いざ、」
「わんっ!」
――振り返ると、犬を散歩中の男が怪訝そうにじっと此方を見つめていた。