第八章



続けざまに見つかるのは勘弁してくれよ。

もちろんフラグではない。外に出て、扉を閉めた後も慎重に。道に出るまでが戦いなのだ。にしても――いや想像はしていたが。朝の四時ちょっと過ぎとだけあって辺りは真っ暗闇。変なものとはエンカウントしたくないものだが果たして。


「よし。道に出たな」

……何とかここまで誰にも出くわさずに済んだ。

いつの間にか息が詰まっていたのだろう、ルーティはゆっくりと息を吐き出して胸に手を置く。そんな彼の気も知らず、ピチカは楽しそうにいつもの調子で。

「これから何処に行くのっ!?」
「しーっ!」

何せ、別荘はまだすぐ近く。咄嗟にルーティが人差し指を立てるとピチカは慌てて口を両手で覆った。……どうやら今の声は誰にも聞こえなかったようだ。

「……あてはないんだ」

ソニックもピチカも目を丸くした。

「正確にはまだ情報が少なすぎて何処に行けばいいか分からない」
「じゃあ、昼でもよかったんじゃない?」

ルーティは首を横に振る。

「……本当は一人で行くつもりだったんだ。せっかくのバカンスなんだから皆には満喫してほしかったし、僕の好奇心に付き合わせたくなかった」

そう言って先を歩きだすルーティに二人は続いて。

「それにこの島が本当に蒼いとされる理由。一日の内、何処かで確認出来るはず。だったら朝日の出ていない、このくらいの時間がちょうどいいかなって」

へぇ、とソニックが感心する一方でピチカは瞳を輝かせる。

「凄い……そんなところまで考えて……おにぃ、リーダーみたい!」
「リーダー、だけどね」
 
 
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