第八章
いつの間にか自分も眠ってしまっていたらしい。
携帯のアラームが枕元で鳴り響く。ぱっと目が覚めたルーティは急いで起き上がると喧しく騒ぎ立てるそれを早々に黙らせた。隣のロイは。……まだ寝ている。
現在時刻は朝の四時。なるべくベッドを軋ませないように縁に腰掛けて、それから下りる。予め用意してあった服に着替え、昨日買い込んだ物を詰め込んだリュックサックを背負い、あくまで音を立てないよう慎重に部屋を出る。
言うなれば単なる好奇心。せっかくのバカンスだというのにこんなくだらない疑問の為に、誰かを巻き込みたくないのだ。皆、お人好しだから。僕が出かける、なんて知ったら大抵ついて来ちゃうし。なるべくならバカンスを満喫してもらいたい。
そんな少しばかりの配慮を胸にルーティは洗面所へと向かう。まずはトイレで用を足し、それから歯磨きをして。顔を洗い、タオルで水滴を拭ったらいざ出発!
「寝癖が付いてますよー」
おっとそうだった。
「……っ!?」
ルーティは慌てて振り返る。
「こんな朝早くから何処へ行くのかなぁ?……おにぃ?」
まずい、早速見つかった。それも一番厄介な人物に。
「べっ……別に……」
目を逸らしながら。そろりそろりと横を抜ける。
「じゃあ早起きなおにぃの為に朝ごはん作らないとね! まずはリンク起こして」
「わああっストップ! ストップぅぅ!」