第七章
「エクスペトラ・パトローナム!」
銀色の炎が吹き出すタイプの手持ち玩具花火を片手に、著作権ぎりぎりの台詞を叫ぶのはディディーである。それに対抗してトゥーン、水色の炎が吹き出すタイプの玩具花火を構えて、対象のディディーに吹き出す炎を向けながら。
「アクアメンティ!」
――林を抜けた先にある祭壇の裏。妙に広々とした石畳の広場の中で元の浴衣や甚平に着替えた彼らは現在、玩具花火で遊んでいた。
「うおっ、あちち!」
「何やってるのよマリオ!」
ロケット花火や噴出花火。
「ふやあああっなんでこっちに来るのぉぉ!」
定番のねずみ花火や、
「……すっげえ地味だな」
蛇花火など。
「一緒にやらない?」
マスターとクレイジーが石段の上に腰を下ろしてその様子を眺めていたところを、ルーティが声をかけた。タブーは、相変わらず彼にくっ付いている。
「……何を?」
「これとかどうかな」
取り出したのは線香花火。
「おちたらしぬんだよ」
「し、死なないよ」
懐かしい遊び方だな、おい。