第一章



「脱がすな! 退けっ、離せ!」

どうやら、水着の試着を手伝っているらしい。とはいえ、じたばたと暴れては異常に嫌がっている様子のネロ。

それもそのはず。彼は誰よりも水が苦手なのだ。海に囲まれた島で一週間も過ごすなんて、彼には少し拷問かもしれない。

「試着室、壊さないでね……」
「ちょ、ルーティ! おまっ、見てないで何とかしろ! あっ馬鹿、触るなああ!」

助けを求めるネロを無視して、ルーティは静かに扉を閉める。ピーチが知ったら、ソニックよりも早く駆け付けるだろうに。

にしても、隣がこれだけ五月蝿くては試着どころじゃないような。場所を変えようか、とウルフに提案しようとしたその時。

「あっ」

試着室、沈黙。

「……あっ、じゃねええ!」

次の瞬間、扉を突き破って試着室から炎が解き放たれた。間一髪躱したものの。

――何があったんだ。
 
 
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