第七章
道の先の茂みではヨッシーとワリオが待機していた。
「ってこれ、大丈夫でしょうか……」
ヨッシーは不安そうに手鏡に映った自分の顔を見つめる。それもそのはず、彼らは特殊メイクを施されていたのである。二人が演じるのはゾンビ。肝試しといえば和風のイメージが付き物だが、お化けでも何でもない役を演じて脅かしてるメンバーもいるし、今更これが洋風だといってもそう違和感はないだろう。
「ソニックって驚いたら英語を叫ぶのかしら?」
特殊メイク専用の筆を手に、ピーチは首を傾げる。
「そろそろだな。行くぞ恐竜!」
「うわっその顔で振り向かないでくださいよぉ!」
……今、声が聞こえたような。
どうやら気のせいではないらしい。ふとソニックが顔を向ければスネークと目が合った。明らかに、確実に何者かがこの先の暗闇に潜んでいるのだ。
頼むから背後から出てこないでくれよ、とだけ願う。いや、だったらその段ボールを外せよって話なのだが、はたしてスネークがそれを許してくれるだろうか。
その時、スネークが止まれとばかりに腕を横に払った。ソニックは立ち止まる。
「う……うぅ……」
暗闇の中からゆっくり歩を進め、現れた。
呻き声を洩らしながら。試しに懐中電灯の明かりで照らしだしたその顔は。
飛び出した目玉が膜に繋がってぶら下がる。皮膚は腐り、爛れて――
「ぬおぉおおおっ!?」
「うわああぁあ段ボールのお化けですううっ!」
ソニックの叫び声はスネークともう一人の声に掻き消された。
「なっ、あ、てか今の声ヨッシー」
「喋ったァァァ!?」
ヨッシーが逃げだすと、ワリオは慌てて追いかけて。取り残されたソニックはぽかん、一方でスネークははっと顔を上げて先程の二人がいないことを確認すると。
「どうだソニック!」
なんで段ボールって凄いだろみたいな顔してんだこの人。