第七章



次に歩いてきたのはマルスとアイクである。

とはいえこの二人。ここまで歩いてくるのにずっと沈黙しているのだ。この肝試しが怖いわけでもなければ、何か話さなきゃ、なんて内心焦ってるわけでもなく。


――僕は思う。確かに彼は良き友人以前にパートナーだけど、そうであるにあたってこの空白をどう感じ取るのか。必ず埋めなければいけないものなのか。

多分、そうじゃない。空白の中にこそ温もりはあるんだ。


「変わったな」

突然そう話を切り出すものだから、マルスは目を丸くした。

「ずっと思っていたことだ。話す機会はなかったが」

……あまり自覚がない。

「そ、そうかな」

アイクは頷く。

「具体的には優しくなったと思う。人にも、自分にも」

少し、くすぐったかった。マルスは顔を綻ばせる。

「……うん」


君がいてよかった。


「……恋、か」

少し遠い目をするアイク。

「それで子供はいつにするんだ?」

どうしてそうなった。

「や、そもそも男だからね?」
「よくある話だ。だがお前は養子を貰え。後継ぎがなくては国が泣くぞ」
「死んでるんだけど……」

もうやだこの人。
 
 
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