第七章



近くの茂みががさがさとなって。オリマーの傍を歩いていたピクミン達がぱっと後ろに隠れた。何かが潜んでいるらしい。ファルコンは懐中電灯で照らし出す。

「そこにいるのは何者だ!」


……出てこない。


確かにそこに潜んでいるのだ。耳を澄ませてみると微かに声も聞こえる。二人は顔を見合わせた後で意を決して茂みに近付き、ひょいと覗き込んだ。

「可愛いなあ、ルーティ……」
「く、くすぐったいってばフォックス」

妖怪鉄鼠をイメージした和装に身を包んでいるのはルーティ。とはいえ彼の場合、本当の動物の鼠とは種族が異なるので代わりにピカチュウ独特の黄色いギザギザの尻尾が生えている。耳は、やはりというか模様からして髪がその名残なのだろう。

「と、というかそろそろ出ないと」
「いい加減離れろクソギツネ。邪魔なんだよ」

パートナーのウルフは狼男だろうか。所々が破けた黒い服に包帯を巻いて、何処となくパンク調。それはともかく、フォックスが同じく和装のままルーティに抱きついているのは何故か。髪の匂いを嗅いだり、こめかみにキスしたりと好き放題。

それをウルフが引き離そうとしているのである。ルーティの胸に腕を回して引き寄せようとしつつ、もう片方の手でぐぐっとフォックスの頭を押して。

「尻尾も意外とふわふわしてるな……」
「ひえっ、あ、わわ」
「触んじゃねえ咬み殺すぞ」

ルーティは困っているが、これはこれで微笑ましい。

「はっはっは! これも青春」
「二人共いい加減にしてってば!」


放電。


「……あ。えっと、うらめしやっ!」

両サイドには黒焦げた二人の男。(ヘルメットを被ってはいるが)笑顔で固まるファルコン。ホラーより何より、この不意打ちが一番怖い。気がする。
 
 
27/48ページ
スキ