第七章
次に歩いてきたのはこの二人。
「はっはっは! どんな化け物も相手になるぞ!」
非常に暑苦しい。
「そういった非科学的な生物はいないのではないか」
「相変わらず同じキャプテンという肩書きを持ちながら冷めた奴だな」
ファルコンは困ったように短く息を吐いて。それにしてもこの二人、甚平姿だというのに互いにヘルメットだけは全く取ろうとしない。暑くないのだろうか。
「夏はこんなにもロマンに溢れている! 想像力を活性化させ、もっと楽しまなければ! ピクミン達だって、海ではあんなにはしゃいでいたじゃないか!」
「てんてこ舞いしていただけなんだがな」
どうやら、他のピクミンが波にさらわれたり溺れたりするのを青ピクミンがオリマーの的確な指示の下、救助するのに必死だったらしい。
「人混みに揉まれた挙げ句、踏まれてしまうものでまともに歩けもしなかった」
オリマーは周りをちょこちょこと歩くピクミンを見下ろす。
「そう言っているようだ」
「何事も経験するのが一番!」
「彼らはもう懲り懲りだと思うが」
このテンションの差。
「……だが、いいとは思わないか?」
熱が落ち着いたのだろうか。ファルコンはふっと笑った。
「皆、ああやって笑って楽しんでいる」
彼の言葉は意表を突くものばかりだ。様々な世界を見てきたのだろう。ああ、とオリマーは返した。……そよ風が吹いている。肌寒さよりは涼しさを感じさせた。
「もちろん。これまで以上に、最高の夏だとも」