第七章
「さ、さっきのは無しだからね!」
あはは、と苦笑いを浮かべるルーティに結局のところ内心意識してたんじゃねえかと思いながら。二人はいつの間にか、祭壇の前まで来ていた。……さて、誰が遊んだのか饅頭がタワーのように積み上げられている。一応、お供え物なんだけど。
「何処に置こうかな……」
「んなもん適当でいいんじゃねえか」
ルーティはうーんと頭を悩ませる。
「置いてけぇ……置いてけぇぇ……」
一帯に響き渡る、怪しい声。
「ウルフ、何か言った?」
「あ? ちげーよ」
ルーティは辺りを見回す。
「……あのー、誰だか存じ上げませんが、饅頭置いときますねー?」
声は遅れて返ってくる。
「違う……」
ルーティはウルフと顔を見合わせた。
「お前の体を」
「置いてけえええ!」
次の瞬間、ルーティは後ろからそれぞれ右肩と左肩を掴まれて、
「いやああぁああっ!?」
――数分後。
「な、泣くなってルーティ。なっ?」
脅かしてきたのはフォックスとファルコの二人だった。それぞれ変わった和服を身に纏っており、恐らくお稲荷様と烏天狗をイメージしたものなのだろう。
「う、っ、だってぇ……」
……それにしても、ルーティには少し心臓に悪かったらしい。
「てめえら……」
「ほ、本当にごめんっ! き、嫌いにならないで……」
必死に手を合わせて謝るフォックスにファルコ、溜め息。