第七章
次に歩いてきたのは、ルーティとウルフの二人である。
「あっ」
と、早速だが残念なお知らせ。先を照らしてくれていた懐中電灯の電池が切れてしまった模様。風は冷たく、辺りは真っ暗闇。ルーティは暫し沈黙して。
「ふん。そいつが使えないと心許ないか?」
「そんなことないけど」
これはまたあっさり。
自分が発電して照らすからこうも余裕なのかと思えば、どうやらそうでもないらしい。想像していた展開と少し違い、ウルフは腑に落ちないご様子。
「……怖くねえのか」
「うーん。ホラー映画とか、ああいう分かりやすいのは怖いんだけど」
――どうやら、何が出るかどうかも分からないからといって、その状況に怯えたりなんてことはないようだ。……怖がって抱きついてくるかと思えば。いや、仮にそうなったとしても邪魔だし歩きにくいな。好都合、好都合。
「もしかしてウルフ、怖いの?」
「なわけあるか」
「ですよね」
ギャグのつもりだったのだろうか。するとルーティ、急に顔つきを変えて。
「……何が出てきても。絶対、僕が守るから」
何ポジだよ。
「本当だな?」
ここは素直に乗っかってみる。
「大丈夫、僕に任せて」
ガサガサッ。
「……、」
咄嗟に腕に抱きつくルーティを見て、ウルフは呆れたように目を細めた。