第七章
ファルコが冷静に突っ込む中、茂みはガサガサと揺れがおさまらない。どうやら本当に、何かがそこに潜んでいるようだ。ファルコは懐中電灯の光を当てて。
「……誰かい」
「うらめしやぁー」
「ひいいいっ!?」
ったく、大袈裟な。声を上げて腕に顔を埋めるフォックスに、よく見てみろとファルコは小突く。フォックスは恐る恐る茂みの中から出てきた人物を見遣って。
「あははっ!」
そこにいたのはカービィだった。……だがしかし。
「デート中お邪魔してすみませんねぇ」
「や、それよりその格好……」
何故かカービィはフォックスのコスプレをしていたのである。カービィは途端ににやーと表情を変えると、同じ茂みの中からもう一人、引きずり出した。
「そっ。僕たちドッペルゲンガーです」
引きずり出されたメタナイトは、なんとファルコのコスプレをしていて。
コピー能力を使わずともこの完成度。髪はウィッグに顔はメイク。身長はブーツで調整しており、よく似ている。この手に関してはプロだな、と少しだけ感心。
「よく似てるでしょ。……特に」
カービィはメタナイトの腰に手を回して引き寄せると。もう片方の手でするりとジャケットを縫って、その先の衣服の上から彼の胸板付近を撫でてみせた。
「あ……」
「こういうとことか」
ちょっと待てえええ!?
「ファルコ、愛してるよ……」
「ぎゃああぁああ!」
「わ、ぁ、じゃな……お、俺、も……?」
「真っ赤っか。ファルコは可愛いなぁ」
「やめろおおぉおお!」
鏡でも見てる気分だ。真っ赤になって叫び散らすフォックスとファルコ。
「あの二人、なかなかやるな。あんなに悲鳴を上げさせるとは」
「ち、ちょっと違うんじゃないかな」
腕を組んで茂みから見守るデデデにポポ、苦笑い。