第七章
「ひっ」
次に歩いてきたのはフォックスとファルコである。風に吹かれ、音を立てて草木が揺れればフォックスは小さく悲鳴を上げ、思わずファルコの腕に抱きついて。
「……ただの風じゃねーか。脅かすなよ」
「そんなの分からないじゃないかっ……」
弱気。零距離。はあ、と溜め息。
「お前は妙なところでへたれだよな」
「っ馬鹿にするなよ! ファルコが怖がっても助けてやらないからな!」
そう言って、フォックスは腕を離すと早足になって先を歩き始めた。自分は確かに鳥目だが、懐中電灯があるので問題はない。そう思って暫く放置していると。
奴はくるりとUターンして戻ってきた。
「止めろよ!」
「オメーが勝手に歩いてったんだろうが」
自分より夜目が利く癖に、こういう雰囲気はまるっきり駄目らしい。なんで涙目になってんだよ。お前の情けなさにこっちが泣きてえよ。
その時、再び近くの茂みがガサガサと鳴って。
「ごめんなさい!」
すかさずファルコの腕に抱きつくフォックス。
「いや何謝ってんだよ」
「わ、分かった。ファルコも本当は怖いんだろ? ほらだって鳥肌が……って元から鳥だった。ははっ、ナイスジョーク。座布団一枚。笑えよ」
「お前頭大丈夫か」