第一章
「僕はこれにしよっかな」
ルーティは黒を基調に、黄色のラインが入った膝上の丈の水着を手に取って。
ウルフも決まったのか、膝丈の真っ黒な水着をルーティに手渡す。とりあえず会計、そう思って無線で呼ぼうとしたその時。
「っわ!」
突然、ウルフがルーティの手を引いて歩き出した。まさか浮き輪を買うわけじゃあるまい、ルーティはウルフを見上げて。
「ウル」
「こっちだ」
そうしてウルフが向かった先は。
「……あ、そっか」
試着室。まあ、服を買うならここに寄るのが当たり前だろう。せっかく気に入っても、サイズが合わなかったら台無しだし。
「って、先客?」
試着室は二つあって、内一つの試着室の前にはローナとシフォンが立っていた。
最もこの二人は先に水着を買ったようで。