第七章
「……前方に個体を確認」
二人はぴたりと立ち止まった。彼がこういった表現をするのも、暗がりではそれが人だとは判別しにくかったからである。とはいえ、この先に進まなくては。
どうやらそれらは道の先で屈み込んでいるようなのだ。興味を示したゲムヲが駆け寄ってみたが、疑問符。此方に背を向けて道の真ん中に屈み込んでいたのは、なんとポポとナナの二人だったのだ。それも何故か啜り泣く声が聞こえる。
「嘘つき……ずっと私だけを見るって、言ったのに……」
ゲムヲは伸ばしかけた手をぴたりと止めて。
「ああ、だから見てきたじゃないか。……ずっと」
ポポはばっと振り返る。
「この目で……」
一つ目。
「もう遅いよ……だって私、泣きすぎて……泣きすぎて……」
続けてナナが振り返る。
「全部無くなっちゃった……」
のっぺらぼう。
とはいえ、本当にそうなったわけではない。驚くことにこれはデデデの特殊メイクによるものなのだ。ゲムヲは首を傾げながらじっと見つめて。
後ろのロボットも特に驚く様子もなく――沈黙。
「驚いてよ!」
特殊メイクを引っ剥がして二人が声を揃えたのは言うまでもない。