第七章
……次に歩いてきたのは。
「体温の減少を確認。大丈夫デス?」
メンバー中、最も寡黙な二人組。ロボットとゲムヲである。
ゲムヲも今回は浴衣ということで何かを書く為のペンや紙を持っておらず、こうして心配されたところで小首を傾げた後、こくりと頷いて応えただけ。
そして当然のように訪れる沈黙が肌寒さを際立てる。
彼らは、あれでいて気にならないのだ。ロボットは機械とだけあって必要最低限の言葉しか交わすつもりはないようだし、ゲムヲは言葉の全てを理解しているわけではないので声に出して話す分には積極性に欠ける。それぞれ理由はあるのだ。
言葉がなくとも意思は通じ合える――まあ、ロボットの場合は他の者と違って身振り手振りが無くとも、終始無表情に見えるゲムヲの僅かな表情の変化で何を伝えたいのかが分かるというのだから驚きだ。彼の動体視力は侮れない。
とはいえ、物事には若干無関心な彼らだ。ゲムヲの浴衣が妙に可愛らしく黒を基調に白のレースをあしらい、赤の蝶々の模様が入っているのは明らかに彼らの好みではない。……恐らく、何も言わないのをいいことにリオンが買い与えたのだろう。
本来なら被害者のパートナーが物申すものだが、肝心のロボットもこれといったリアクションはなく。もしかしたら俗に言う、こういう時どんな顔をすれば分からないの状態だったのかもしれない。かといって笑われても困るが。
さて、そんな彼らがはたして驚いた顔を見せてくれるのだろうか。
「デデさん、見ていてください!」
「俺たち頑張りますから!」
妙にやる気のポポとナナ、早速隠れていた茂みから出ていった。
「くだらないことに精を出すな……奴らは」
デデデは呆れたように溜め息。