第七章



「うわっ」

次に歩いてきたのはロイとピットだった。

慣れない浴衣で歩きにくいのか、小石に躓いて転けそうになったピットの腕を、隣を歩いていたロイがすかさず掴んで。

「ったく。気をつけろよ」
「ご、ごめん」

甚平を着ているロイは、懐中電灯で先を照らしながらゆっくりと隣を歩いている。

気を遣ってくれてるのだろう。


「……あのさ」
「ん?」
「ロイって、怖いものとかある?」

一番避けたかった話題を、こいつは。

「逆にお前はどうなんだよ」
「いっぱいあるからなぁ」
「例えば?」

ピットはうーんと唸り、腕を組んで。

「ナスビ使い!」
「なんだそれ。怖いのか?」
「怖いよ! だってナスにされるし」

ロイは表情を強張らせて。

「ほ、他には?」
「んーと、テンプラ使い!」
「……まさか天ぷらにされるとか」
「うん。おまけに油断したらぱくっとね」

どんな人生を送ってきたんだ、こいつ。
 
 
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