第七章
その時、少し先の茂みががさがさ揺れて、クッパはすかさずガノンドロフの後ろに隠れた。こういう時だけ俊敏である。
ガノンドロフは懐中電灯の光を向けて。
「そこにいるのは誰だ。出てこい」
すると、思いの外あっさりとドンキーが茂みの中から出てきた。が、言葉を交わすこともなく背中を向けると駆け出して。
「貴様っ、逃がすか!」
ガノンドロフの後ろから飛び出し、走りだすクッパ。あっという間に追いつくと、
「小癪な真似を――」
手を伸ばして肩を掴み、振り向かせた。
「……え」
のっぺらぼう。
「ぎゃああぁあ!?」
「うっらめしやぁー!」
もちろん、これは特殊メイク。
驚き、情けない声を上げて逃げだすクッパを今度はドンキーが追いかけて。
「……う、うらめしやー」
ガノンドロフの服の裾を引き、振り向いたところでディディーは両手を振りかぶる。
彼ものっぺらぼう。
「……すみませんでした」
暫しの沈黙の後、ディディーが謝った。