第七章



「う、うらめしやあっ!」

……過去にこんな幽霊がいただろうか。

白い三角布に着物、とここまではいいのだが、美しい金髪が今回ばかりは役を殺している。何より怖くないし、寧ろ。

「うらめしやああ!」

可愛い。

「……兄ちゃん」
「気付かないふりをしてあげましょう」

それも優しさだ。袖をくいと引っ張るトゥーンを連れ、リンクは祭壇を目指す。

「ほ、ほぅら、幽霊ですよ!」

幽霊に扮したゼルダは諦めず、リンクとトゥーンの周りで驚かそうとうろちょろ。

「すみません。霊感ないんです」
「そっそうなんですか?」
「ゼルダ、会話してることに気付こうぜ」

トゥーンの突っ込みにはっとして。

「驚いてください! うらめしやあっ!」
「分かりましたから成仏してください」

その様子を影で見守っていたピーチとサムスは顔を見合わせ、やれやれと溜め息。

「相手が悪かったのかしら……」
「あれはゼルダが悪いのよ」
 
 
9/48ページ
スキ