第七章
「う、うらめしやあっ!」
……過去にこんな幽霊がいただろうか。
白い三角布に着物、とここまではいいのだが、美しい金髪が今回ばかりは役を殺している。何より怖くないし、寧ろ。
「うらめしやああ!」
可愛い。
「……兄ちゃん」
「気付かないふりをしてあげましょう」
それも優しさだ。袖をくいと引っ張るトゥーンを連れ、リンクは祭壇を目指す。
「ほ、ほぅら、幽霊ですよ!」
幽霊に扮したゼルダは諦めず、リンクとトゥーンの周りで驚かそうとうろちょろ。
「すみません。霊感ないんです」
「そっそうなんですか?」
「ゼルダ、会話してることに気付こうぜ」
トゥーンの突っ込みにはっとして。
「驚いてください! うらめしやあっ!」
「分かりましたから成仏してください」
その様子を影で見守っていたピーチとサムスは顔を見合わせ、やれやれと溜め息。
「相手が悪かったのかしら……」
「あれはゼルダが悪いのよ」