第七章
「もう。何だってこんなことしなきゃいけないのよ……せっかくの夏祭りなのに!」
林の中を懐中電灯で照らしながらぶつぶつと呟くのはピーチである。ゼルダは彼女の腕にしっかり抱き付いていて。
「そっそうですよ……ですからその、今からでも引き返しませんか?」
「いいじゃないの。こういうのは経験よ」
怯えた様子で提案するゼルダにさらりと返したのはサムスだった。決して意地悪ではなく、表情や態度からでは分かりづらいが自身が楽しんでいるからである。
「で、一つ気になったんだけど」
サムスは祭壇に供える予定の饅頭を真上に放っては受け止める動作を繰り返しながら、ぐるりと辺りを見回して。
「先に行ったお二人さん、どうやらすれ違ってないみたいなのよねー……」
そういえば。
「ま、まさか草影で!」
「冗談でもやめてちょうだい気持ち悪い」