第七章



「ひいっ!」

林の中、涼しい風が吹き抜けて茂みが揺れれば、ルイージは大袈裟に声を上げ、より一層強くマリオの腕にしがみついて。

「お前、いつだったか鼻唄歌いながら立派な屋敷で掃除機かけてた癖に……」

マリオは溜め息。

「そんな僕が家政婦みたいに」

その時、木の枝から吊るされていた蒟蒻がルイージの顔面にちょうど張り付いて。

「ひぃやああぁあ!?」
「静かにしろ」

すかさず懐からハリセンを取り出し、悲鳴を上げるルイージの頭に一撃。

「ひ、酷いや兄さん……」
「叫んだら呼んでるのと一緒だぞ」

打たれた箇所を押さえながらその場に屈み込むルイージに、マリオは改めて溜め息。

「……ん?」

その時、林の向こう側に光を見つけて。
 
 
4/48ページ
スキ