第一章



「海パンとか履きそぉー!」
「うわっ」

神出鬼没。

ルーティの後ろからひょいと顔を出したのはカービィである。驚いたルーティは、声を上げてウルフの後ろへ避難。

「は、履かないもん」
「ルーティはそうかもしれないけどさぁ」

海パンなんてウルフには似合わない。

咄嗟に否定するルーティだったが、カービィはニヤニヤしながらウルフを見つめて。

「う、ウルフ……」

履かないよね? というか履かないで。

そんな思いを込めて、ルーティは潤んだ瞳でウルフをじっと見つめる。ウルフはそんなルーティの視線に気付き、溜め息。

「……履かねえよ」

よかった。

ルーティはぱあっと表情を明るくすると、ざまあみろとばかりに赤い舌を出して。

カービィ、つまらなそうに舌打ち。
 
 
31/44ページ
スキ