第六章
リンクは腕時計を見つめて。
「……そこまで!」
遂にタイムアップ。リンクが静止の声を上げると、ルーティもローナも手を止めて。
「二人共、椀を貸してください」
数えるのは審判の自分の役だ。
リンクがそれぞれ手を差し出すとルーティは苦笑気味に手渡し、対するローナはにこにこと笑いながら椀を突き出して。
「何匹だろーねぇ?」
さすがのリンクもぎょっとした。
ルーティが掬った金魚は指で数える程度に対し、ローナが掬った金魚は……可哀想に、椀から溢れそうになっている。
「うわ、凄い通り越して怖っ」
「一目瞭然ですね……」
肝心なことを忘れていた。
いくら事情を知っていようが、彼女はシフォンの妹。姉の黒い一面をしっかり、こっそりと受け継いでいた彼女が、手加減なんてするはずもなかったのである。