第六章
「せいっ!」
そんなかけ声と同時に、泳ぐ金魚目掛けて斜めにポイを振り下ろし、縁に金魚を引っ掛けつつ、斜めに掬い上げる。
水飛沫と共に罠にかけられた金魚が宙を舞い、すかさずルーティは椀を差し出して受け止める……その数。合計、二匹。
「おお、やるじゃないの!」
歓声の中、ローナはにいっと笑って。
ルーティとしては、頭の中で組み立てた作戦を実行したに過ぎないのだ。とはいえ、出来るとは思っていなかったのだが……
「残り、二分になったわよ」
ローナは五匹、ルーティは二匹。
絶対に勝ってやる! とルーティが気合いを入れたのも束の間、ローナはにやり。
「ルーティ」
ローナは不意に手を止めて。
「世の中には主人公に華を持たせるタイプと、そうでないタイプがあるんだ……」
ルーティは小首を傾げる。
「さて。僕は誰の妹だったでしょう?」