第六章
ローナとルーティは水槽の前に屈んで。
「うーん……」
ルーティは袖を捲りつつ、考える。
自分は初心者も同然なのだから、弱ってて今にも死にそうな金魚を掬っても構わないのだろうが、それはプライドが許さない。
プライド、といっても其処らの誰々さんよりはハードルが低いが、それでもなるべくなら生きの良い金魚を掬っておきたい。
「よし、」
「五匹っ!」
……ん?
「えっ」
ふと隣を見てみれば、確かにローナはこの短時間で五匹も金魚を掬っている。
ポイの紙も破れていない。
「ふっふっふ……どうしたんだい?」
にやにやといやらしい笑みを向けてくる彼女に、慌てて水槽の金魚に視線を移す。
「……、」
やるしかない。
狙うなら縁や角を泳いでる金魚だ。破れないよう、ポイを斜めに構えて――今!