第六章
まずは百円を支払い、小さな椀とポイを受け取る。勝負の際、ぬいぐるみは邪魔になってしまうのでルーティはウルフの元へ。
「てめえが自分で管理しろ」
まだ何も言ってない。
「しゃーないな。俺が預かったる」
重い石が伸し掛かったかのように項垂れるルーティを見て、気を利かせたドンキーがひょいと兎のぬいぐるみを取り上げた。
「ほな、行ってき!」
「うんっ」
にっと笑ったドンキーが背中を押せば、ルーティはにこりと笑って駆けていく。
「……ま、釣り合わんしなー?」
にやにやしながら視線を送るも、ウルフはふんと鼻を鳴らし、顔を背けてしまって。
「ま、ええけど。ちゃんと見といたれや」
ドンキーはルーティの背中を見つめる。
「あんたの為にやるんやから」
くだらない。そうは思いつつも。
「……、」
ウルフは腕を組みながら、少々遠慮がちにルーティへと視線を送るのだった。