第六章



「何も賭けとらんの?」
「当たり前! 僕、自分が有利な戦いで利益になるようなもの、賭けないのっ」

これだから大人は、といった具合に語る辺り、彼女は誰より格好良く見える。

「勝ったとしても、そこで自分を助けたのは利益に対する“欲”。勝負に対して、それって格好悪いことだと思わないかい?」

いつもは阿呆なのに、今回ばかりは正論を語ってくる。全くその通りだとリンクでさえ口出ししないのだから、間違いない。

「理論は……大乱闘と同じだね?」
「そう! これはただ単に強さを競うバトル! ま、一回百円だけどねっ」

成る程。好戦的な彼女が思い付きそうなことだ。ルーティは腕に抱えた兎のぬいぐるみをじっと見つめ、考える。

さっきと違って、何かを得ることで返すことは出来ないけど……勝利を収めることで、自分がパートナーであることを。


ほんの僅かでも、誇りに思えたなら――
 
 
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