第六章
鉛玉じゃない――確かにそうだ。
勝つことにばかり囚われすぎて、肝心なことを忘れていた。そうと決まれば確実に点を確保したい、とファルコは下段の景品を積極的に撃ち落として。
「二人共、頑張ってくださぁい!」
「ただの意地の張り合いだがな」
楽しそうに腕を振り上げて応援するヨッシーと、溜め息混じりにワリオ、正論。
……よく見ると、ウルフはあれから一発も撃っていない。本物じゃないと改めて知って、やる気が削がれたのだろうか。
「ウルフ?」
どうしたの、とルーティが声をかけようとしたその時である。不意にウルフが銃を構え、コルクを撃ち込んだのだ。
それは先程逃した、兎のぬいぐるみ。
「あっ」
何処に撃ち込めば確実に落とせるのか、ウルフはそれで悩んでいたのだ。兎のぬいぐるみは大きく傾き、そのまま落下して。