第六章
「わっ」
道行く人にぶつかり、よろめく。
しかしその腕は掴まれて。何とか体勢を整え、顔を上げるとそこにウルフはいた。
「気を付けろ」
「あはは」
もう大丈夫、と腕を下ろそうとすれば今度は手を掴まれて。というより、握られたのである。……これは、もしかして。
「ったく。世話の焼ける」
気を遣ってくれてる?
「……へへ」
これはこれで、いっか。ルーティはウルフの手を握り返すと、嬉しそうにその隣へ。
「転けんなよ」
「大丈夫っ」
「てめえは小さいからな」
「ぅ」
……どうしていつも一言、多いかな。
暫く歩いているとやはり小腹も空いて、焼きとうもろこしを買うことになった。
「やっぱ焼きそばにしない?」
「飛び散るだろうが」
「散らないように頑張るって」
「その努力を別に回せ」
今日のウルフ、意地悪だなぁ。