第五章
「ああ、帰ってたんですね」
タイミング良く現れたリンクの髪は、何故か少し濡れていて。それも彼だけでなく、遅れて現れた他四人の髪も。
「兄ちゃん!」
「よく出来ました。少し遅かったですが」
駆け寄り、抱き付くトゥーンの頭を撫でながら、リンクは優しく笑いかける。
「ぁ」
ぱっと子供達がルーティやフォックス達に視線を注いだ。どうやら、本当の事情を彼らだけには知られたくないらしい。
「川で溺れてた人を助けたんだぜ!」
「ほお。偉いなあ」
同じように駆け寄り、抱き付いてきたディディーの頭をドンキーは優しく撫でて。
「もう。お菓子買いすぎよ」
「えへへ……」
此方も同じく抱き付くピチカの頭を撫でながら、リムは仕方なさそうに笑って。
「褒めてくれてもいいんじゃねーの」
何も言わないユウを前に、ネスは不服そうで。一方、此方はリオンとリュカ。
「お、おいで……」
はあはあと喘ぎながら両腕を広げるリオンだったが、当然、リュカが来るはず――
「ぁ」
抱き付いた。
「は、はう……っリュカ殿……」
「ありがとう」
えっ?
顔を上げたリュカは、可愛らしく肩を竦めて笑いながら、人差し指を立てる。
「……リュカ殿」
その意味を理解した時。
「小悪魔、なのだな」
今日は我慢。リオンは最後まで自分を制し、リュカの頭を優しく撫でるのだった。