第五章
それから間もなくして、ようやく子供達は別荘に帰ってきた。さすがにあの短時間では服は乾かず、びしょ濡れのままで。
「どうしたの!?」
ただいま、と声を上げる前に気付いたルーティが駆け寄ってきた。
それまで一緒に話していたフォックスは、ファルコと共にタオルを取りに向かい。
「あのな、川で人が溺れてて」
「車で水がばしゃーっと」
「素敵な王子様が」
「凄かったんだぜ! とにかく!」
「転けちゃったんだ……」
あれやこれやと声を上げる子供達にルーティは一瞬身を引いたが、とりあえず落ち着いてと苦笑。タオルを持ってきたフォックスとファルコは、それぞれに手渡して。
「嘘が下手だな」
ウルフはそんな子供達を横目に、壁に凭れ掛かりながら煙草を吹かせる。
「ウルフってば、またそんな意地悪」
ルーティはそう言うが、ウルフの言う通りだ。嘘なんていつかはバレるだろ、とディディーは諦めたように視線を送る。
話すしかない。子供達は頷いて。
「実は――」