第五章
「っ、来た……!」
現在ディディーとトゥーンを捕らえている男の元へ、黒髪の男が向かってくる。
が、子供達を盾に使ってしまえば問題ない――男達はそう思っていた。
「馬鹿野郎っ!」
大柄の男が声を荒げると、黒髪の男はにやり。男達の目の前で飛び上がり、頭上を飛び越えて背後へ。そこで攻撃を仕掛けるでもなく、長髪の男が男達の目の前に、
「な、ぁ」
飛び込み、顔の側面目掛けて回し蹴り。
男達が怯んだ隙にディディーとトゥーンは抜け出し、まずはピチカの元へ。
「かはっ!」
追おうとした男の鳩尾を肘で突き、もう一人の男を蹴りで薙ぎ倒す。踏み付け、大柄の男の元へ駆け出す黒髪の男を見遣る。
「生意気だ……」
大柄の男は自分の手のひらに拳を打って、さあ来いとばかりに足を開いて構えた。
ネスは思わず、立ち尽くし。