第五章



「こいつっ!」

リュカを捩じ伏せていた男が事態に気付き、黒髪の男の元へ駆け出した。黒髪の男はピチカに紙袋を手渡すと自分の後ろに追い遣り、向かってくる男を見据えて。

「っと。温いなぁ」

拳で殴りかかってきたところを手のひらで受け止め、そのまま右下に流して体勢が崩れたところで腹目掛け、膝蹴り。

「か、かっこいい……!」

思わず頬を赤らめるピチカに、

「そうかい?」

黒髪の男は、にこり。

――それにしても、この状況。まだ小さいというのに目を付けられちゃって、可哀想に……仕方ないなぁ、ここは。

「ちょっと待っててね」

黒髪の男はそう告げて、駆け出す。

長髪の男も黒髪の男の考えに気付いたのか小さく溜め息を吐き出し。後ろから襲いかかってきた男の顔面に裏拳、駆け出して。
 
 
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