第五章
――助けなくちゃ!
それまでネスの後ろに隠れていたリュカは一人小さく頷くと、ネスの傍を離れて。
「リュカ!」
ネスの声も聞かず、リュカは捕らえられたピチカの元へと駆け出す。彼女が落とした傘を拾い、畳んでから振り上げて。
「ピチカをっ」
「っ駄目、後ろ!」
ピチカが声を上げるも遅く、リュカの振り上げた傘は後ろに回り込んでいた男に取り上げられた後、遠く放られて。
「ぁ、いッ」
「はー……危ねぇ危ねぇ」
リュカはその男に、捩じ伏せられてしまった。ネスははっと目を見開いて。
「リュカ!」
駆け寄ろうとするも、複数の男が通せんぼ。背後は親玉である大柄の男が仁王立ち……ネスは身動きが取れない状態に。
「構わねえから、ネス! 使え!」
「そうだ! 緊急事態だろ!」
ディディーとトゥーンが口々に声を上げるが、ネスにも意地がある。が、ここは特殊能力に頼らないと切り抜けられそうも――