第五章



「ってめえ!」
「ピチカを離せ!」

ディディーとトゥーンは口々に声を上げると、傘を放り駆け出した。が、そこへ男達が立ち塞がる。少しずつ後退りするも、背後に回った男達がディディーとトゥーンを捕らえて。ディディーは顔を顰めながら、

「何だよ! 離せよ!」
「おい、こいつ財布持ってないぜ」
「じゃああっちの餓鬼だ」

男達が視線を注いだ相手は、ネス。

ネスは咄嗟に自分のショルダーバッグを見つめて、眉を顰めた。あの時のやり取りを、この男達は遠くから眺めていたのだ。

「ネスっ」

不安げに名前を呼ぶリュカ。

「おらおら。お友達がどうなってもいいのか? ええ?……さっさと寄越しな!」

大柄の男についていた男が、ネスに襲いかかる。ネスは咄嗟に傘を畳むと、来るなとばかりに振り回し、睨み付けて。
 
 
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