第五章



数分後、二人はきちんと着替えて無事トイレから出てきた。正直、リオンが何か仕出かすのではと冷や冷やしていたが。

「せいぜい仕事に精進するんだな」

そんな台詞を吐き捨てて、リオンを引き摺るようにしてリンク達の元へ。

一方の男は引き続き携帯型ゲーム機で遊ぼうとしたが、店長らしき男が近付いてくるとさっと隠し、口笛を吹かせて。

「……今、サボってなかったか?」
「まさか」
「レジはどうした」

確かに、今は客も落ち着いているが。

男は襟を整えて前髪を軽く掻き上げると、頭の後ろに両手を回して。ふっと笑う。

「異常無いッスよ」


保護者組五人が集結したところで、商品を袋に詰め終えた子供達は出口へ。傘立ての中から傘を取り出し、ネスが傘を差して我先にと外へ。雨はまだ降り止まない。

「よーし、帰るぞー!」

ネスは後ろ歩きになりながら拳を振り上げ、リュカが「待ってよぉ」と後を追う。
 
 
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